プロローグ

どうも、伊須田座路(いすだ・すわろう)です。このたび、幼い頃からの夢――会社の上場を目指し、私は**「株式会社起立着席」**という会社を立ち上げることにしました。

弊社のサービスは至ってシンプル。 それは、起立・着席を続けること。

私には、特別なスキルも、人脈も、営業力もありません。手元にあるのは、日本語を喋れることと、五体満足に与えられたこの身体だけ。

だから私は考えました。 「自分にできることは何か?」

そして、浮かんだのが『起立・着席』でした。これならすぐにでもできます。だから、まずは始めてみようと思ったのです。

もちろん迷いもありました。この会社は起立着席しているだけで、何も生産していません。しかも、私の想いが誰に届くのかも分かりません。

けれど。 そんな私の背中を押してくれたのは、母の言葉でした。

「無駄なことなんて、ないんだよ」

私は信じています。 この世界には、本当の意味で“無価値なもの”など存在しないということを。

私は続けます。 雨の日も、風の日も、起立・着席を。